笛を鳴らせば。〜Handball Laboratory〜

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国としての強化が実を結んだカタール -サッカーアジアカップ決勝-

【トピック】
・アジアカップ決勝 日本vsカタール
・帰化選手について
・勝つべくして勝利したカタール
・日本における育成・強化の環境

 

こんにちは。

冒頭の挨拶のネタが尽きてきました、syuです。

 

 

今日は日本選手権準決勝。

先日ブログに書いた無人AIカメラ”Pixellot”を使ったライブ配信を観てみましたが、

www.handball-jp2019.com


解説含め、「あぁ…。うん…。」という感じ。

シュートシーンを捉えられていなかったり、おそらく4つのカメラの継ぎ目の関係で歪んで見える箇所があったり。

 

そもそも日本最高峰の大会の、しかも準決勝をテスト配信にすること自体あらゆる面で準備不足だと思いますけどね…。

 

日本選手権については、明日の決勝を観てまとめたいと思います。

 

 

アジアカップ決勝 日本vsカタール


さて、昨日深夜にサッカーアジアカップの決勝が行われました。

テレビで観た方も多いんじゃないでしょうか。

 

結果は1-3で敗戦。準優勝で大会を終えました。

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写真:ロイター/アフロ

戦術大好きなので戦評を書きたいのですが、サッカー関係者でもない僕が書くといろいろ言われそうなのでやめます。笑

 

どんな試合内容だったかは、元日本代表の岩政大樹さんがわかりやすく言語化しているので、そちらを読んでみてください。

www.soccerdigestweb.com

 

 

帰化選手について


試合後、SNS上で多くの人が話題にあげていたので先に触れておきます、帰化選手について。

ハンドボールのカタール代表も帰化選手の活躍が目立ちますよね。

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2015世界選手権でベスト7にも選ばれたザルコ・マルコビッチ。彼はモンテネグロにルーツを持つ。https://ja.wikipedia.org/wiki/ザルコ・マルコビッチ

 

今回23人の代表選手の中で14名の選手は、外国にルーツを持つ選手です。

エジプトやスーダンなどのアフリカ系が多いですね。

その14名のうち、カタールで生まれた選手は7名。

 

カタールという国をみてみると、秋田県より少し狭いくらいの面積に約271万人の人口がいます(2018年4月、外務省より)。

そしてその約90%は外国人労働者であり、カタール人は20万人ほどしかいないそうです(国土交通省より)。

 

代表チームは、まさに国の姿を反映した組織だと言えます。

 

帰化選手が多いことを「ずるいぞ!」とか「代表としての誇りはないのか!」とか騒ぐ人はいますが、それはお門違いな話。

 

一時期はカタールの帰化選手について問題視されていましたが、今回に限ればFIFAが定めてるルールにきちんと従っているし、

 

やっているサッカー自体も選手個人の能力に頼らず組織的に日本を崩していましたし、

 

何より日本を倒して優勝という結果を手にしています。

「ずるい」とか「卑怯」とか言っても、勝ったのはカタールです。

 

なんなら2018W杯で優勝したフランスも、23名中15名がアフリカなど外国にルーツを持つ選手ですからね。

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[写真]=Icon Sport via Getty Images

 

外国の、国としての強化を批判する前に自分たちの国がどうすれば勝てるか、どう強豪国を追い抜かしていくかを考えるべきじゃないですかね。

 

 

帰化についてはこのくらいにして、今日伝えたかったのはこの後の話。

 

勝つべくして勝利したカタール

 

試合のハイライトだけ観ると、オーバーヘッドのスーパーゴールや強烈で精度の高いミドルシュート、VARで吉田選手のハンドを取られてしまったPKなど、「運悪く」カタールに風が吹いていたと感じる人も多いかもしれませんが、非常に組織的に、システマティックに日本を困らせていました。

 

彼らは国として、決して帰化選手や運任せでなく、着実に育成・強化に力を注いできたからこそ初優勝という結果を残すことができたのです。

 

 

育成・強化の中核となっているのは、2004年に設立された「アスパイア・アカデミー」。

もともとはあらゆるアスリートの育成機関でしたが、2022W杯がカタールで開催されることもあり、サッカーに力を注いでいるようです。

優勝メンバーの多くがこのアカデミーの出身者です。

 

www.footballista.jp

 

記事を簡単に説明すると、最新の設備を整え、スペインから有能な指導者を連れて来て育成年代から一貫したトレーニングを行える組織です。

 

また、アカデミー内の言語教育と、豊富な資金力で海外のクラブと提携して次々に選手を送り込むというサイクルを作り出しています。

 

さらに、海外で力を着けた選手が国内リーグに戻り経験を還元したり、指導者としてアカデミーに雇用されるというサイクルも生まれているようです。

 

ちなみに代表監督のサンチェス監督は2006年にアカデミー指導者として招聘されて、世代別代表を長きに渡って指導して今に至ります。

カタールの組織力や意思疎通の良さにもうなずけますね。

 

 

そうして国のプロジェクトとして育成・強化に力を費やし、世代別代表で結果を残しながら昨日、ついにA代表でアジアの頂点に立ったのです。

運や偶然ではなく、必然だったのです。

 

 

日本における育成・強化の環境

アスパイア・アカデミーのような国としてのプロジェクトはなくとも、日本でも競技団体単位で育成・強化は行っていますよね。

 

ハンドボールだとNTSとか、NTAですね。

 

www.handball.or.jp

 

NTSの目的の中に、こんな文章があります。

 

統一された指導法に基づいた一貫指導を実施する。

 

これはあくまで”NTSの期間中は”ということで僕は解釈しているのですが、どうなのでしょうか。知っている方いましたら教えてください。

 

 

はっきり言えば、日本ではほとんどのスポーツで一貫指導はできていませんよね。

妨げになってるのは、学校(部活)という組織。

 

note.mu

 

例えば中学校で素晴らしい指導者に出会えたとしても、3年でお別れ。

次の指導者のスタイルが違ければ始めからベースを作らなければなりません。

 

そして選手がチームと合わないと感じて環境を変えようとしても、移籍するには転校するしかありません。

 

部活、特にハンドボールのようなマイナースポーツの部活の指導者は、ほとんどが学校の教師です。

 

本業が教師の人に質の高い指導を求めることは酷だと思うし、外部から質の高い指導員を呼ぶにしても、学校はお金がありません。そして学校がお金を稼ぐことがタブーとされています。

 

だから、これからは部活→クラブチームに移行していくべきだと思っています。

選手は自分のレベルや目的に合ったチームを選べて、指導者という職の裾野も広がる。

民間のクラブチームなら自由にマネタイズもできます。

 

部活という環境を継続していくとしたら、学校が自由に資金を生み出せるようにして、自前で指導者を雇えるようにならないといけないと思います。

 

どちらにしても、大前提は指導者の育成。

良い指導者が良い選手を生み、 良い選手がスポーツの顔となります。

 

また今度、指導について書きたいと思います。

 

 

余談ですが、最近ではサッカー男子日本代表のメンバーが、ユース出身者>部活動出身者になったそうです。

 

fc-crocodile.net

 

国として強化していくためには、今の育成年代の環境を一度壊さないといけないのかもしれませんね。

 

日本のスポーツが良い方向に向かうように、僕も学んでいきたいと思います。

 

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今日も読んでいただきありがとうございました。

 

最後の方はまとまりのない文章になってしまいましたが、僕が感じる育成の環境について書いてみました。

みなさんの意見もぜひ聞きたいです。

 

 

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では。